ブツリス

とある物理学科の学生によるブログ。大学で学ぶ物理に関する記事多め

古典力学参考文献リスト

個々に参考文献を載せるのでは、短い記事を数記事に分けて公開するブログスタイルにおいて、情報探索という面で煩雑になる恐れがある。

そのため、各分野について学習した教科書、参考書の類をあらかじめ記事にまとめておこうと思う。詳しい内容や原本に当たる際は適宜参照してもらえるといい。

 

[1]物理学序論としての力学(著:藤原邦夫)

物理学序論としての 力学 (基礎物理学1)

物理学序論としての 力学 (基礎物理学1)

 

 

学部1年の時に広く読まれているスタンダードな古典力学の教科書。

多くの図やデータと共に記されており、物理学が机上の空論ではなく

「実際の自然現象に基づいた学問」

であることを痛感する。

演習問題は(高校物理や入試問題とは違って)実際のデータを用いたものが多く含まれており、計算が煩雑になる。そのため、関数電卓またはスマートフォン関数電卓アプリと共に解き進めるのがオススメ。

 

[2]力学(著:ランダウ・リフシッツ)

力学 (増訂第3版)   ランダウ=リフシッツ理論物理学教程

力学 (増訂第3版) ランダウ=リフシッツ理論物理学教程

 

 

通称ランダウ力学。薄い見た目とは裏腹に非常に高度な内容を含んでいる。

基礎的なところを天下り的に論じている節があるので、二冊目以降に読むことが広く勧められている。

古典力学ニュートンの三法則を土台として議論を進められてきたが、この本ではその後に発展した解析力学に基づき、最小作用の原理から出発している点で異なる。

最小作用の原理は、古典力学の後に発展した量子力学において、「経路積分」という考え方にもつながる非常に大切な発想である。一読の価値あり。

 

[3]ファインマン物理学 Ⅰ力学 (著:ファインマン・レイトン・サンズ) 

ファインマン物理学〈1〉力学

ファインマン物理学〈1〉力学

 

 

日本語訳で全5巻あるファインマン物理学のうち第1巻。

先の二つで挙げた本に比べて数式の数が少なく、独特な語り口調での説明が多い。

1巻の前半は物理学と様々な分野と関わりを述べ、物理がその裏で非常に広い貢献をしていることがうかがえる。「お勉強」としての物理に疲れた時に読むといいかもしれない。

一見簡単そうに見えて、その奥は結構深いのがこの本の特徴。いろんな本で学習した後にまた読んでみると、新たな発見があるかもしれない。

 

[4]はじめての物理数学 (著:石川洋

はじめての物理数学

はじめての物理数学

 

 

古典力学の基本方程式であるニュートン運動方程式は、常微分方程式で書かれている。そのため、学部1年で学ぶ古典力学の多くの時間が、様々な条件での常微分方程式を解くことにあてられることが少なくない。これが

「大学に入ったら物理が数学になる」

と巷でよく言われる大きな理由の一つだと思われる。この本は学部初級の物理に必要な数学を非常にコンパクトにまとめた本である。物理の本に書いてある数学の説明で分からない場合は、手元に置いておくといいかもしれない。

 

[5]数学ー物理を学び楽しむためにー (著:田崎春明)

http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/mathbook/index.html

 

学習院大学で理論物理を研究なさっている田崎さんが大学で物理を学ぶ学生向けに現在進行形で書いている(2017年5月現在)。とても豊富な内容をなんと田崎さんのwebページに無料で公開されている。公開されているpdfファイルには上記のURLから田崎さんのwebページに移動し、下の方にあるダウンロードリンクをクリックすることでダウンロードすることができる。

非常に分量が多いため、全部やりきるというのではなく、適宜必要になった時に必要な個所を参照する形か、適宜取捨選択して読み進めるのがいいだろう。

 

 

他にも高校や大学の講義内容がもととなっている。

何か不明な点や疑問点があれば各記事にコメントいただけると幸いである。